-
大好きな地元へ「結果と行動で返したい」 どんなにつらいときも常に笑顔で
- 千葉穂波選手(法政大学1年)は姉の朱夏(あかね)選手の影響を受け、フェンシングに本気で向き合うようになりました。高校から仙台市に拠点を移し、現在は都内へ。それでもいつも実家がある岩手県一関市を気にかけ、練習に打ち込んでいます。
-
淡路卓さんの指導を受け「フェンシングを追求したい」
- フェンシングを始めた頃、千葉穂波選手は泣き虫な少女でした。
「負けるのが嫌なのに練習嫌いだったんです。当然練習しないと勝てないから、負けて泣くし、メンタルも弱いので試合の前は『お腹が痛い』と言いながら泣いていました」
母も姉もフェンシング選手。競技に打ち込むのには絶好の環境であったにもかかわらず、小学生の頃までは「自分がやりたい時にだけ、楽しくフェンシングができればいい」と考えていました。そんな千葉選手の意識が変わったのは、中学生の頃です。6歳上の姉、朱夏選手は、通っている高校にフェンシング部がなく、隣県の宮城・仙台城南高校でコーチを務める元日本代表選手の淡路卓さんから指導を受けていました。インターハイを制するなど、みるみると強くなっていく朱夏選手の姿に、穂波選手も刺激を受けました。
「小学校6年生の頃から自身も淡路さんの指導を受けるようになって、フェンシングの面白さはもちろんですが、強い淡路さんと練習をするのが楽しかったんです。もっと強くなって世界大会へ行きたい、フェンシングを追求したいと思うようになりました」 -
- ▲意識が変わってからは競技に前向きに取り組みました(Ⓒ日本フェンシング協会/Augusto Bizzi/FIE)
-
世界一になるため、まず磨きをかけた「駆け引き」
- 平日は地元で練習し、土日は1人で高速バスに乗って岩手県一関市から仙台市へ。ハードな生活ではありましたが、頑張れる理由が千葉選手にはありました。
「ただ『勝ちたい』と思うだけの生半可な気持ちでは意味がない。世界一になりたいと言うだけでは世界一にはなれないし、世界一になるために自分は何が必要で、普段からどう向き合って、日本代表として活躍できる選手になるためには何を考えて練習をしなければならないか。真剣に考えるようになりました」
そのために千葉選手がまず磨きをかけたのは、駆け引きでした。専門とするフルーレは、素早い動きの中で繰り広げられる駆け引きが見どころで、レベルが上がれば難易度も上がります。実際に世界のトップで戦ってきた淡路さんから、必要なスキルや駆け引きを学び、2022年にはドバイで開催されたジュニア(U20)世界選手権に出場しました。 -
自然豊かな地元、祖母が作ってくれる水あめもちが好き
- 高校入学を機に大好きな岩手を離れ、拠点を本格的に仙台へ移しました。「フェンシングで強くなるために」と明確な目的を持った上でのチャレンジでした。千葉選手にとって一関市は離れたからこそ、より一層、心が安らぐ場所になりました。
「自然が豊かなところが大好きです。岩手から宮城、今は東京が拠点になりましたが、小さい頃から散歩をした自鏡山を見ると『帰ってきた』とホッとするし、何より一関はおもちがおいしい。あんこ、納豆、ずんだなどの定番から、くるみや水あめなど、味の種類も豊富で家族や親戚が集まるお正月は、おもちがたくさん食べられるので大好きな季節です(笑)。特に私は祖母が作ってくれる水あめもちが大好きで、アレンジできなこをかけたりして、いろいろな味を楽しみながら、6個食べたこともありました」 -
- ▲千葉選手が好きな地元の景色に虹がかかりました
家族はもちろん、フェンシングを始めた頃に所属していた一関フェンシングスポーツ少年団の指導者や、ともにクラブで練習してきた仲間、現在所属する子どもたちも、練習に参加すると「頑張っているね」と声をかけてくれます。結果が出た時は、まるで自分のことのように喜んでくれることが千葉選手にとっては何よりの喜びです。「応援してくれる人たち、自分を育ててくれた人たちへの恩返しがしたい」という思いを込め、父から紹介された明治安田生命「地元アスリート応援プログラム」への参加を決めました。
「同じクラブで今頑張っている子どもたちに、私の経験から何かを伝えられたり、実際にフェンシングを教えてあげたりできるといいな、と思うし、結果を出すことで地元に恩返しをしたい。高校までは国体も(高校がある)宮城代表で出ていましたが、これからは岩手代表として出場するので、地元の代表として今まで以上に頑張りたいです」 -
支えてくれる人たち、地元の人たちに恩返しするために
- 結果を出すためには道具や遠征も必要です。千葉選手は現在、ジュニアカテゴリーの大会や合宿に参加していますが、今後はシニアカテゴリーへと上がります。レベルが上がるだけでなく、遠征期間も長くなり、かかる費用も倍以上に跳ね上がるため、支援金を充てて、レベルアップをしたいと考えています。
「競技を始めた頃は剣の扱いも下手だったので、1年間で7、8本折れてしまったんです。折れたからつなげればいいというものではなく、細かな部品も消耗品ばかり。支えてもらっている親、家族に恩返しするためにも頑張らなきゃ、と強く思うようになりました」 -
- ▲今後はシニアカテゴリーへ、周囲のレベルも上がります(竹見脩吾さん撮影)
親元を離れ、世界を舞台に戦うことは楽しみであると同時に、地元を離れる寂しさもあります。それでもアスリートとして戦うと決めた以上、同じ岩手県出身で大リーグで活躍する大谷翔平選手のように、千葉選手も地元の星となるべく、決意を述べました。
「高校生までは自分のために頑張りたいと思ってきました。でも大学生になって、支えてくれる周りの人たち、地元の人たちのために結果や行動で返したいと思うようになったので、どれだけつらい時でも笑顔で。自分の長所はいつも笑顔でいられることだと思うので、応援したいと思っていただける選手になれるように頑張ります!」
(取材・制作:4years.)
※ヘッダー写真は竹見脩吾さん撮影 - ================
2024年2月29日をもちましてクラウドファンディングを終了いたしました。
ご支援をいただきまして、本当にありがとうございました!
■支援者一覧(順不同、敬、称略)
丸山康明、津谷由紀子、津谷龍星、なおちゃん、ぐでたま由紀子、なお、鈴木美穂、みゆき、鈴音ママ、桂田勝浩、田澤拓也、残間整骨院 残間敏成、齋藤祭・花灯、J.ニコルソン、ひかりと母、秋保茂樹、菜の花皮膚科クリニック、遠藤、千代川晶則