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地元の名産・草加せんべいで海外選手と交流 世界の舞台で勝てる選手をめざす
- 大高姫菜選手(浦和実業学園高校1年)は子どもの頃から体を動かすことが大好きで、「じっとしているのが苦手だった」と振り返ります。水泳、器械体操、トランポリン、テニスとさまざまな競技を経験。フェンシングを始めた当初は戸惑いもありましたが、負けず嫌いな性格に火がつき、世界の舞台で勝てる選手をめざしています。
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強い選手たちから1ポイントを取れるようになり、感じたうれしさ
- 小学4年生の時、埼玉県の「彩の国プラチナキッズ育成プログラム」に参加した大高選手は、ここでさまざまな競技を経験しました。特に適性があると判断されたのが、スピードスケートと近代5種。すべて未経験でしたが「初めて挑戦するのが楽しかった」と言い、どの競技もそつなくこなしていました。唯一、「初めは嫌だった」というのが近代5種の中に含まれるフェンシングでした。
「防具が入っているところはまだいいけれど、すねを(剣で)突かれると痛くて。あざができるのが嫌でした。しかも最初は勝てなかったので、自分から『やりたい』と思う競技ではありませんでした」
嫌いだったフェンシングが、なぜ今では好きになったのでしょうか。理由はシンプルです。
「フェンシングの練習をするクラブの中で、私が一番年下でした。いきなり勝つのは無理だから、最初は練習中に一人ひとりから1本を取ることを目標にしたんです。もともと負けず嫌いで、学校の授業でも課題が出されたら最初に提出したいタイプなので(笑)。実際に強い人たちから1ポイント取れるようになったらうれしくて。フェンシングが大好きになって、フェンシング一本でやっていきたい、と思うようになりました」 -
- ▲小学6年生のときに東日本少年個人フェンシング大会の小学生の部で優勝しました
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素早い動きの基本となるフットワークが武器
- 負けず嫌いを自認する通り、相手が強ければ強いほど燃える大高選手。中学生の全国大会やカデ(U17)の大会で次々と結果を残し、2022年には全国カデ選手権で3位になるなど、飛躍的な成長を遂げました。
体のどこを突いても得点になるエペは、相手の出方をうかがう選手も多いですが、大高選手は「守るよりも攻撃を意識する」ところが長所です。素早い動きの基本となるフットワークを武器としてきましたが、U17のアジア選手権や世界選手権といった国際舞台では、新たな課題を突き付けられました。
「同じ年齢でも身長が180㎝の選手や、フットワークが異次元な選手もいる。自分の長所や武器としてきたものもまだまだ通用しないと思ったし、もっと上のカテゴリーの大会にも出場して、経験を重ねていかないといけないと実感しました」 -
- ▲世界選手権で戦う大高選手(手前、©日本フェンシング協会)
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草加せんべいを話のタネに、つないだ縁
- 活躍の場が広がったことで課題が明確になっただけでなく、日本代表として出場した試合は新たな縁を育む機会にもなりました。その縁をつないだのは、大高選手の地元、埼玉県草加市が誇る名産・草加せんべいです。
「アジア選手権に草加せんべいを持って行って、韓国、中国、サウジアラビア代表の選手に『日本で一番おいしい食べ物だから食べて』と渡したんです。英語が得意ではないので翻訳機を使いながらでしたが、草加せんべいを話のタネにしてコミュニケーションを取りました。海外にはしょっぱいお菓子がポテトチップスぐらいしかないので、草加せんべいは珍しいし、『新感覚ですごくおいしかった』と言ってくれて、うれしかったです」
生まれ育った草加への愛は年々深まり、明治安田生命「地元アスリート応援プログラム」に参加を決めた理由の一つも、競技で頑張ることが地元のPRになると考えたからです。
「一緒に練習する方々だけでなく、初めて会った方からも『フェンシングで頑張っているね』と声をかけていただけるとうれしいし、小さい頃からお世話になっている草加市の方々にも恩返しがしたい。前は『応援してもらっている分、結果を残さなきゃ』と緊張して、自分の力が出せないことも多かったのですが、世界でも勝てる選手になって、地元の方々、みんなに応援される選手になりたいです」 -
- ▲アジア選手権に出場し、記念撮影
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車の中で食べた卵焼きが、練習を頑張る活力に
- 幼い頃からさまざまなスポーツを経験してきた大高選手にとって、一番の応援団は家族です。スピードスケートの練習をするために、リンクへの送迎をしてくれた父親、食事をするのが遅い時間になるからと、お弁当を作って持たせてくれた母親。車の中で食べた大好物の卵焼きは、不慣れなスケートの練習を頑張る活力にもなりました。
「海外遠征から帰ってきた時、無性にあさりうどんが食べたくなって、お母さんに作ってもらいました。海外遠征には日本食も持って行くのですが、お母さんのごはんを食べるのが一番うれしいし、ホッとします」
プログラムの支援金は、道具や遠征費用に充てたいと思っています。目標とする同じエペの男子日本代表、見延和靖(みのべ・かずやす)選手のようにフットワークや剣さばきを磨き、夢を追い求めます。
「U17だけでなく、U20やシニア、それぞれのカテゴリーで日本代表になってアジア選手権、世界選手権に出場して勝てる選手になることが目標です。頑張って結果を出すことで、地元の方々にも元気が届けばうれしいですし、応援の力が、私の頑張る活力です」
スーツケースには大好きな草加せんべいも忍ばせて。大高選手の世界での挑戦はこれからがスタートです。
(取材・制作:4years.) - ================
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