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アスリート発掘事業で才能開花! 埼玉から世界に挑戦するスケートリンクの勝負師
- 「とにかく負けたくない、強くなりたい」と、自身の負けず嫌いな性格を語ってくれた犬塚選手。ハードな練習であってもリンクで滑るだけで幸せを感じると話すなど、本当にスケートが大好きな彼女。犬塚選手にとって、スケートができる環境があることは当たり前ではありませんでした。
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日本代表にも初選出! 着々と実力をつける若手の星
- 犬塚莉帆選手(埼玉県出身)は大阪府の阪南大学に通う1年生です。ショートトラックを始めたのは小学5年生の時。それまでは選手コースで水泳に打ち込んでいました。きっかけは小学4年時に参加した「埼玉県ジュニアアスリート(彩の国プラチナキッズ)発掘育成事業」です。犬塚選手は様々な競技を経験する中で、1周111.12mのトラックをスケートで周回して順位を争うショートトラックに出合い、競技者生活をスタートさせました。21-22年シーズンではジュニア選手権1000mで優勝。22年12月に開催されたジュニア選手権1500mでも2位に入賞し世界ジュニア選手権日本代表に選出されるなど、着々と実績を積み上げています。
ショートトラックは、1周400mのスケートリンクを周回してゴールタイムを競うスピードスケートに比べると知名度が低く、ややマイナーな存在です。犬塚選手は「自分が活躍することで、ショートトラックが持つ魅力を知ってもらえたら」と考えています。
犬塚選手は現在、阪南大学に所属。「大阪に行ってからは練習環境も変わりました。高校時代は、練習環境も限られていましたから」と当時を振り返ります。高校時代は秀明英光高校にアスリートとしてサポートをしてもらいながら同校から車で20分ほどの埼玉アイスアリーナで週2回、練習をしていました。ただ、リンクで練習できる日が限られていることから、夏場は長野に拠点を移して強化合宿を行なうなど、競技活動にも制限があったといいます。また、スケートシーズンである9月から3月の間も、試合や練習で県外に行くことが多く、多額の費用負担があるのが実情です。こうした中、明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」を知り、地元のアスリートを応援しようとする制度趣旨に賛同しました。 -
- ▲23年1月にドイツで開催された世界ジュニア選手権で初めて世界を体験。新たな課題もみえてきました
「競技を続けるには合宿費や遠征費の他、高額なスケート靴やブレードなど用具の費用も発生します。支援を受けることで、金銭的な心配をすることなく競技に打ち込み、お世話になった地元にも貢献できると思い、応募を決めました」
大学進学後は、ウエイトトレーニングも本格的に行なうなどパワーを意識した身体の土台作りに励んでいます。「阪南大学は日本代表選手が多く所属しているのでとても刺激になりますね」 -
大阪でも欠かせない!なじみ深い狭山茶は犬塚選手の必須アイテム
- 犬塚選手が生まれ育った埼玉県狭山市は関東地方最大の茶産地です。味に定評がある狭山茶は、日本の三大銘茶(狭山茶、静岡茶、宇治茶)の一つに数えられています。実家から徒歩圏内のところにも茶畑があり、幼い頃から狭山茶はなじみ深いものだったそうです。「今も狭山茶は大好きで、大阪に来てからもよく飲んでいます。やっぱり狭山茶を飲むと落ち着くというか、なくてはならない私の必須アイテムですね」と笑いながら話してくれました。
狭山市は都心まで電車で40~50分と首都圏内にありますが、地元意識が強く、のんびりとした土地柄。狭山の人たちは犬塚選手を温かく見守ってくれているそうです。「高校入学後に母校の中学へあいさつに行った際も、先生方から「頑張ってね」と声をかけてもらいました」と顔をほころばせます。中学時代、体力づくりのために所属していた陸上競技部の新井晃二先生は、犬塚選手の妹を指導していることもあり、今も何かと気にかけてくれるそうです。 -
夢の舞台に立つために 世界を経験してみえてきた課題
- 犬塚選手は、ショートトラックに出合ってすぐ、どんどん速くなっていく楽しさを感じました。頭角を現すのも早く、小学6年になる春休みには全国大会に出場します。一方で、自分よりも早く競技を始めた選手とのキャリアの差も感じました。「負けたくなかったですし、それには練習しかないので、父に自転車で伴走してもらい、よく自主的に走りに行きました」と当時を振り返ります。“負けたくない”“強くなりたい”という思いは今も犬塚選手の源泉になっています。
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- ▲23年に阪南大学に進学した犬塚選手。大阪でも地元の名産品狭山茶は欠かせない、と話してくれました
競技生活は今年で9年目になりますが、これまでつらいと思ったことはあまりないそうです。「どんなにハードでも練習は楽しいですし、何よりもリンクで滑ることが大好きなので。試合で結果が出ないことがあっても、勝った時の喜びが糧になっています」と話します。そんな犬塚選手の支えになっているのは家族です。「初めて長い遠征に行った時は心細くもなりましたが、その時も励ましてくれましたし、遠征や合宿を終えた後の一家だんらんの時間にいつも癒やされています」と言います。
大きな目標は26年に開催される世界的な夢の舞台に出場して活躍すること。23年1月にドイツで開催された世界ジュニア選手権では、初めて世界を経験しました。「コロナの影響もあり、世界大会に出場したのは昨シーズンが初でした。そこで感じたのは、海外選手との大きな差。正直、スピード感が全然違いましたね。レースを一緒に戦えない悔しさが募りました。でも、それが一番の財産。悔しさをバネに対等に戦えるよう努力していきたいです」と、世界を舞台に戦う決意を示します。 -
自分のためだけじゃなく、支援してくれる皆さんのために戦う
- 改めてショートトラックの魅力を犬塚選手にたずねました。
「4人から6人で順位を競う競技なので、レース中の駆け引きも重要になります。展開を読む力、判断力が順位に直結するところが、スピード感とともに醍醐味だと思います」
今は、世界で戦うための土台作りの時期。全体的な筋力アップを目標に、本格的なウエイトトレーニングを行なっています。それはもちろん自分の目標のためですが、大好きな競技のためでもあり、応援してくれている地元の人たちや支援者のためでもあります。
このプログラムを通じ、多くの方の支援を受け、自分が世界で活躍することで、ショートトラックの認知度を高め、支えてくれている人たちを元気にしたい。犬塚選手は高みをめざし続けます。
(取材・制作:4years.) - ================
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