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初めての大けがを乗り越え世界の頂へ、「川口でクライミングといえば本間大晴」の夢に向けて
- 小学1年生の時に、埼玉県川口市の自宅近くのクライミング施設でクライミングに出合うと、その後メキメキと上達し、国内外の大会で輝かしい成績をおさめている本間選手。クライミングが盛んな地元の川口をクライミングで有名にしたい、そして「川口でクライミングといえば本間大晴」になりたいと語ります。その夢に向かって着実に成長を続けています。
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クライミングが盛んな川口市で魅了された達成感
- 本間選手がスポーツクライミングを始めたのは小学1年生の時。「登っている途中の体力的なきつさや、落ちるかもしれないという恐怖感、それらを克服して登り切った時の達成感が好きです」と、競技を楽しむ気持ちは今も変わりません。
大学生になった2018年の国体でリード(高さ12m以上の壁を登り、到達高度を競う)とボルダリング(高さ5m以内に設定された壁を制限時間に何回登れたかを競う)で優勝。その年から、IFSC(国際スポーツクライミング連盟)クライミング・ワールドカップのリード部門にも参戦。19年10月には準優勝、そして22年の第2戦で初優勝を飾ると、年間総合ランキング2位でシーズンを終えました。
「スケジュールが詰まると海外で1カ月くらい過ごすこともありますので、交通費と宿泊費だけでもそれなりの金額がかかってしまいます。また、普段クライミングジムで練習する時も利用料を支払います。強くなるため、そして練習や大会へ出るために、費用を工面しなければいけないというのが現状です」
それらの費用に充てたいと考え、明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」に参加しています。また埼玉出身だからこそ、もっと地元をアピールしていきたいという思いも、この制度に参加した理由のひとつでした。 -
- ▲登り切ったときの達成感に魅了された少年時代。その楽しさは現在も変わりません
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地元・埼玉のラジオ番組でもクライミングをアピール
- 本間選手のスポンサー企業が小原歯車工業株式会社。国内で標準歯車の圧倒的なシェアを誇る会社で、本間選手の地元である埼玉県川口市に本社があります。
「歯車を製造する会社さんで、スポーツクライミングとは直接的には関連がないのですが、僕が川口市出身ということで応援していただいています。地元にいると多くの方から応援していただけていると実感します。子どものころから通っている接骨院では、年配の方から『クライミング頑張って』と言葉をかけていただくこともありますし、大会後には中学時代の先生からもメッセージをもらいました」
埼玉は人の温かさだけでなく、スポーツクライミングの観点でも取り組みやすい環境だと、本間選手は感じています。だからこそ、地元のアスリートを応援しようとする明治安田生命のプログラムの趣旨にも賛同しました。小学生の時に出合ったクライミングジムには、今でも通って練習を続けています。また休日には、埼玉や長野、山梨の岩場へ登りに行くこともあります。
「例えば秩父の岩場では、自然でしか作れない独特のホールドを工夫して使うのが楽しいです。同じ埼玉県の加須市の市民体育館は、ワールドカップの舞台にもなりました。県全体でスポーツクライミングを楽しめる場所が多いと思います」
本間選手は20年の「地元アスリート応援プログラム」から支援を受けています。その際に実施したクラウドファンディングについて、地元・川口のラジオ番組で紹介してもらう機会に恵まれました。「クライミングがどんな競技で、自分がどんな思いで取り組んでいるのかなどを伝えて、『クラウドファンディングをお願いします』と呼びかけました。自分のことを知ってもらうきっかけになったのかなと思っています」 -
念願の世界一に一歩届かず、しかもアクシデントが……
- 22年は絶好調だった本間選手。7月にスイスで行なわれたワールドカップ第2戦で初優勝を飾りました。
「日本代表選考会で3年ぶりに代表権を獲得し、ワールドカップに参加することができた時点でうれしかった。やっと戻ってこられたという気持ちで挑んだワールドカップ。1戦目は慣れない感覚だったけど、2戦目は体も慣れて実力を発揮することができた。でも、まさか優勝できるとは思っていなかった」
その後も優勝1回、準優勝2回と3大会連続でメダルを獲得するなど好調を維持し、終わってみれば年間総合ランキング2位でフィニッシュ。1位とは25ポイント差で念願の優勝にはあと一歩届きませんでした。
「ここまでうまくいくとは思わなかった。3年ぶりのワールドカップでしたが、出場をめざして諦めずに頑張ったことが良かったなと今も思っています。海外での大会は、4~5カ月かけて長期で最後まで戦い抜かなければいけないので、改めて大変さや難しさを実感。そこは今後、改善していかなければならないと強く感じましたね」
しかしそのオフ、23年3月末の練習中に着地時に足首をひねり靱帯が断裂。医師からはシーズン開幕の6月の復帰は厳しいと言われましたが、懸命なリハビリで奇跡の復活を遂げています。
「これほど大きなけがは初めてで、気持ち的にかなり落ち込みました。でも、多くの方から励ましの言葉をもらって、僕にはそういう場があるんだというのを改めて実感。また元気な姿で競技をしているところをみんなに見せたいという思いで気持ちが奮い立ちました」 -
- ▲180cmの長身を生かしたダイナミックなクライミングが持ち味です
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クライミングをもっと有名に、川口からめざすは世界の頂点
- スポーツクライミングを始めた小学生のころは、「なんでスポーツクライミングなんかやっているの?」と聞かれたこともありました。しかし今は、街を歩いていると地元の方に声をかけてもらえるほど、スポーツクライミングが浸透してきたことを本間選手は実感しています。実際、本間選手が通っているクライミングジムでは、男女問わず20~70代と幅広い年齢の方がスポーツクライミングを楽しんでいるそうです。
「恐怖心や筋力への不安を感じている人も少なくないかもしれませんが、性別や年齢を問わず、色々な人がスポーツクライミングを楽しんでいるということをもっと伝えていけたらいいなと思っています」
スポーツクライミングの魅力をより多くの人に知ってもらうために、スポンサー企業の工場見学イベントでボルダリング体験会を開催。クライミングをやったことがない方から、「次はちゃんと施設に行ってみます」と言われ、本間選手は地元への貢献を実感。そんな本間選手の目標のひとつが、「クライミングをもっと川口で有名にしたい」ということ。そして、川口のクライミングの象徴として「川口のクライミングといえば“本間大晴”」といった存在になりたいという夢を持っています。
地元・川口を愛する本間選手にはお気に入りの場所もあります。
「温泉が好きなんです。川口には結構温泉があって、一番好きなのは『七福の湯』ですね」。と言う本間選手は、海外遠征から帰ってきた時に温泉に入ることで、「川口に帰ってきた」と実感するそうです。「帰ってきたらすぐ行くみたいな」。そしてもう一つが、西川口駅前の「そば処二幸」。「励ましの言葉もいつもいただいて、『頑張って』みたいな感じでトッピングをサービスしてくれる。心のよりどころというか、うれしいですね」
今季はワールドカップでの総合優勝をめざす本間選手。「ここ数年、(日本から)リードの種目で年間総合ランキング1位は出ていない。その価値は大きいと僕は思う。昔からずっとその夢はかなえたかったので、1位を取るという思いはかなり強いです」。
クライミングを通して、地元で応援してくれる方が笑顔になれる結果を求める本間選手。「川口でクライミングといえば本間大晴」になるという夢の実現は着実に一歩一歩近づいています。
(取材・制作:4years.) - ================
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