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日本の女子短距離界を牽引する24歳! 新エースとして飛躍を誓う
- 日本女子短距離界の新エースにふさわしい活躍を見せている大分出身の兒玉芽生選手。2022年は、7月のオレゴン世界選手権に女子4×100mリレー日本代表(第3走者)として出場し、予選で43秒33の日本記録を樹立しました。さらに個人種目では、2年ぶりに100m、200mの自己ベストを更新。100mにおいては日本歴代2位の11秒24をマークするなど、着実に成長を続けています。
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日本記録に0.03秒差、昨季は飛躍のシーズンに
- 兒玉芽生選手は大分県出身。小学1年生の頃から姉の影響で陸上のクラブチームに通うようになり、小学3年生のときから本格的に競技に取り組みました。小学5年生で100mの全国大会で優勝すると、そこから毎年全国大会に出場。高校3年生のときには100mでインターハイと国民体育大会(国体)少年Aの2冠を達成しました。
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- ▲競技に対する熱が入り始めた小3の頃。このときの思いを忘れずに実力を高めていきます
- 高校卒業後は福岡大学に進学し、陸上部に入部。大学2年時の19年には日本選手権200mで優勝、20年には日本インカレで100m、200m、4×100mリレーの3冠、日本選手権100m優勝、200m準優勝と、日本女子陸上短距離界でトップレベルの実力をつけてきました。22年にはミズノ株式会社に入社。ミズノトラッククラブの一員として活動を続けています。
社会人1年目の昨季は、6月の日本選手権で100mが2位、200mは優勝し2連覇、3度目の優勝を達成しました。7月のオレゴン世界陸上選手権は4×100mリレー日本代表(第3走者)として出場し、予選で43秒33の日本記録を樹立しています。
その後、9月の全日本実業団対抗では、100m、200mの短距離2冠を成し遂げ、なかでも100mは日本記録に0.03秒差と迫る日本歴代2位の11秒24をマーク。10月には、国体成年女子100mの大分県代表として出場し、見事優勝しました。 -
社会人になってからの収穫と学び
- まず昨季の結果については、「日本記録を更新できたというのが、一つ大きかったかなと思います」と回顧。「所属とかが変わるなかで不安もあったんですけど、しっかり結果が出せたっていうのは一つ大きな収穫というか、学びのあるシーズンだったなと思います」と続け、この1年で「成長できたと思います」と胸を張っています。
学生時代と比較すると、「午前中に足りない補強だとかをやったりという点では、より陸上に集中できるようになった」という兒玉選手。成長の要因については、「まず練習の質が大きく変わりました」と自己分析しており、「仕事をして競技をやっていくという面では責任感も違います。そこは競技の結果としてつながっていると思います」と話しました。
23年に入ってからは、4月の織田記念100mで5位、5月の静岡国際200mでは予選敗退を喫しましたが、これには、本人も「思い描いていたものではなかった」と反省。ただ、「収穫のあるレースを一つひとつ重ねられているなと思います」と前を向いており、「100%の完成ではないんですけど、徐々に良くなっている手応えはあったので、そういう意味での気づきや学びはありました」と力強く語っています。 -
あらためて思う世界との差、今後の課題は?
- 「去年、自己ベストを100m、200mで出したので、その自分をしっかり超えられるようにしたい」
このように今季の目標を掲げている兒玉選手。現状、世界選手権の出場権獲得は厳しいそうですが、「そこだけが目標というより、まずは去年の自分を超えたいというところがあって、今シーズンはやり切りたい」と強調しました。
また、世界との差が非常に大きいといわれる女子短距離ですが、これには本人も、「見た目でいうとやっぱり体格だとか、体幹周りの強さだとかが違いますし、あとは技術においては、やっぱりスピード感。トップスピードが高くないと、トータルとしても高くならないんですけど、トップスピードは明らかに今の日本女子短距離と違う」とギャップを口にしています。
そういった点を踏まえ、今後の課題については、「トップスピードを出すための加速局面を重要視することと、やっぱりパワーが圧倒的に足りていないので、そこの力の発揮というところには、体づくりも重要なポイントになるかなと思っています」と冷静に見据えていました。 -
- ▲伸びやかな走りを見せる兒玉選手。さらなる躍進に期待が寄せられています 写真提供: Agence shot
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より大きくなった、地元・大分に対する愛
- 今回のプロジェクト参加は、21年、22年に続いて3度目。その反響については次のように振り返っています。
「これまで地元の方とのつながりというのをなかなか持てなかったんですけど、こういった機会によってすごくつながりを感じられるようになりました。“地元に対する愛”っていうのは、元から持っていたのですが、より大きくなったというか。自分の走りで何か届けられたなという思いをすごく持つようになりました」
兒玉選手は地元・大分県について、「陸上をここまで続けられたのも、大分県だったからというぐらい特別な場所」と表現します。大分県では年間を通して、国体に出場できる可能性のある強化選手が集まって練習する機会が多くあります。兒玉選手も中学時代からその場に参加し、年上の選手や他の学校の指導者とも交流し、刺激を受けました。
「高校のときも、インターハイより国体で活躍したい、大分の関係者の方に恩返しがしたい、という思いが強かった」という兒玉選手。明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」も、大分県の陸上関係者の方が教えてくれたことが応募のきっかけとなりました。 -
周囲への感謝「何か届けられるものがあるんじゃないか」
- 個人種目でも世界の大舞台をめざしている兒玉選手。支援金の使い道については、次のように説明しました。
「まず競技の結果を出すことで何か届けられるものがあるんじゃないかと思っているので、競技成績を上げるために、やっぱり海外の試合に挑戦したいという気持ちもあります。また、今シーズンは特に織田記念などで痛みが出たり、そういう症状もあったので、ケア用具を購入したりとか、そういったものに充てさせていただきたいなと思っています」
兒玉選手が取り組んでいるのは、競技活動だけではありません。21年に続いて22年は、地元・大分県で「かけっこ教室」を開催し、子どもたちだけでなくマスターズの方とも交流。「すごく新しい試みというか、面白かった」と感想を語っており、「陸上をやっていない子どもたちも対象にやったんですけど、『陸上教室に通いたい』って言ってくれたり、『すごく楽しそうだった』と保護者の方から言っていただいたりしました。そういった面でも本当にやってよかったなと思います」と笑顔を見せました。
地元愛が深い兒玉選手。最後は、22年10月の国体で優勝した思いを次のように表現しています。
「まず9月の全日本実業団が終わってから調子が崩れて、本当どうしようっていう状況だったんですけど、その中でもどうしても勝ちたいっていう気持ちが強くて。勝って高校からずっとお世話になっているコーチの方だとか、関係者の方が喜んでくれる顔を見られたのは、すごく私の中でも大きい。そこはやっぱり日本選手権とかで勝ったときの喜びとはまた違ううれしさがありました」
(取材・制作:4years.) - プロフィール画像 ©Agence shot
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