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グラススキーの女王がアルペンでもトップをめざす! 長野から世界の頂へ
- 夏はグラス、冬はアルペンと1年を通して競技に挑む前田知沙樹選手。「夏と冬どちらも競技ができるのは、サポートがあるからこそ」と2022年5月に入社した地元企業とクラウドファンディング支援者の方々に感謝の言葉を述べる姿が印象的でした。世界の壁を乗り越え、4年に1度の夢舞台をめざします。
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冬の雪と夏の芝。二刀流の活動を続ける生粋のスキーヤー
- 長野県岡谷市で生まれ、塩尻市で育った生粋の信州人である前田知沙樹選手がスキーに出合ったのは、小学校入学前。父に連れられ、隣町のあさひプライムスキー場(朝日村)でゲレンデデビューを果たしました。
「あんまり遠くに滑っていかないように父にひもをつけてもらって滑るのがすごく好きでした」 -
- ▲4歳のころゲレンデにて。スキーと出合ったのは小学校に入る前でした
競技としてアルペンスキーに興味を持ち始めたのは小学校入学後でした。長野県の多くのスキー場ではアマチュアレースが開催されています。大人も子供も問わずに「速い選手が強い」というシンプルな競技性に魅せられ、まず「Falcon Racing」に加入し、小学5年生から現在まで「Team DLWH」というチームに所属して、本格的に競技にのめり込んでいきます。
トレーニングの一環として夏場には芝の上を滑走するグラススキーも始め、そのかいもあって全国中学校スキー大会、全国高等学校選抜など多くの優勝カップを掲げる、世代を代表する存在となりました。 -
競技活動を支援してくれる地元企業との出合いが大きな力に
- 松本大学在学中、働きながら競技を続けるために、長野県が主催する「アスリート就職支援事業」を活用し、その活動に理解を示してくれる企業を探している過程で明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」に出合いました。自分のように地域に根ざして活動する選手には、願ってもない制度でした。
前田選手は20年からこのプログラムの支援を受けていました。そしてプログラムの一環であるクラウドファンディングにも初めて挑戦しました。支援金とともに、「欧州に一人でいったり、苦しいことがあったりしたので、添えられているメッセージに励まされ、支えになりました」と振り返ります。「小学生の時、頑張っていたのを覚えています」という懐かしい方からの応援も、大きな力になりました。
22年に長野県松本市の株式会社村瀬組に入社。「私の競技活動を理解して、尊重していただいています。グラス、アルペンの二刀流で活動を続けられているのも会社のサポートがあるからこそです」と前田選手。地元企業のサポートを受けてさらなる飛躍をめざしています。 -
クラウドファンディングの支援が、活動の大きな支えに
- 前田選手は「世界で戦う上では、現地で滑るのが一番。日本のコースでは感じられない変化の大きさがあります」と語ります。世界の壁の高さを感じたのが、22年12月に参加したワールドカップ。1本目で途中棄権という結果に「コースの難易度に自分がまだ追いついていないことを実感しました」と冷静に分析します。
経験を積むため、なるべく多くの海外遠征を組む上でも支援金は大変大きな助けになっているといいます。実際、22~23年シーズンもプログラムで寄せられた支援金のおかげで、海外遠征期間を通常より1カ月長くとることができたそうです。「クラウドファンディングの支援をいただけるおかげで、活動の選択肢が増やせることが大変ありがたいです」と前田選手。応援を力に、次の成長につなげるつもりです。 -
世界で戦うために、海外での経験を少しでも多く積みたい
- 23年3月に行なわれた全日本選手権では目標に掲げていた優勝を実現するなど、国内を代表する選手に成長した彼女ですが、世界ではまだまだニューフェースです。「ウェーブの多いヨーロッパのゲレンデや、雪質、斜面に対応していかなくては世界では戦えません」と現実を見つめます。
しかし、本人は決してネガティブに捉えているわけではありません。「自分に足りない部分が何か、課題ははっきりとしています。私は器用なタイプではありませんが、粘り強く取り組めるのが強み。だからこそ、少しでも多く海外での経験を積んで、世界と対等に戦えるレベルになりたいです」と、力強く話してくれました。 -
- ▲全日本選手権で優勝を果たすなど、国内で圧倒的な成績を残しています
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グラススキー世界選手権で前人未到の3大会連続4冠へ
- 21年の夏に行なわれた、2年に1度のグラススキー世界選手権。19年大会では4種目完全制覇を果たし、ジュニア世界選手権と合わせて史上初の8冠を達成。21年大会でも前回に引き続き4種目完全優勝で見事2大会連続4冠に輝きました。
「19年大会は挑戦する側でしたが、21年大会は追われる立場。2年間プレッシャーがありましたが、気持ちを強く持って厳しく練習に取り組めたことで2大会連続4冠を達成することができました」と振り返ります。そして、23年開催予定の世界選手権では前人未到の3大会連続4冠に挑みます。「世界チャンピオンとして、自身が競技のレベルを上げていかなくてはならない立場だと思っています」
アルペンスキーの目標は4年に1度の大舞台でのメダル獲得。「そのためにも、ワールドカップで2本目に進みポイントを獲得することが必須。まずは、秋の開幕戦の出場権を確実に獲得したいです」と話してくれました。
「アルペンスキーというマイナースポーツでは、競技を知っている方でも誰がトップ選手か分からない。だからアルペンスキーといったら前田知沙樹と言ってもらえるように」
そんな代名詞的な選手へ、彼女の挑戦は続きます。 -
- ▲自然豊かな環境の中でトレーニングを行なう前田選手
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長野を代表するアスリートになって、地元への恩返しを誓う
- 前田選手が抱く地元への思いは強いものです。松商学園高校の時は塩尻―松本間の往復約40kmの道のりを、ほぼ毎日、クロスバイクでトレーニングを兼ねて通学していました。
「ひとつのことを継続することで精神面でも鍛えられると思って」と、雨の日もかっぱを羽織り、ペダルをこぎました。時には通学路脇の畑で働く方からレタスを差し入れてもらったり、いつもすれ違う車のドライバーから交通安全のお守りを受け取ったりしたこともあるそうです。そのような地元の持つ温かい雰囲気が大好きだと、笑顔を見せます。
「私は地域に根ざした選手をめざしていて、地元で応援してもらいながら競技をする選手に憧れがあります」
例えば、Jリーグの松本山雅FCのようなクラブや、同じ冬季アスリートであれば小平奈緒さん(スピードスケート、長野県茅野市出身)のような地域のシンボルとしての存在に、選手としての理想像を見いだしています。
「世界のトップで戦えるようになって、冬と夏の2競技でチャンピオンになりたいです。そのためにも、まずは結果を出して地元に明るい話題を提供できれば。そう思っています」
(取材・制作:4years.) - ================
2024年2月29日をもちましてクラウドファンディングを終了いたしました。
ご支援をいただきまして、本当にありがとうございました!
■支援者一覧(順不同、敬称略)
岸裏、さんたま、Fujita、まっす、渡辺、yamamitsu、島津 英明、瀬野水産、有泉恵子、鈴木和己、長谷川 学、石井千寸、うえたく、z34shuu、久保勝彦、野沢厚志