-
ストイックさにあこがれる姉の背中を追って 活躍することで地元の魅力伝える
- 秋田が誇る“フェンシング三姉妹”。成田和叶選手は長女の琉夏(るか)選手、次女の実礼(みらい)選手とともに、世界をめざして日々練習に明け暮れています。将来的にはシニアのカテゴリーで「世界選手権で優勝する」ことを夢見て取り組んでいます。
-
「姉のように世界で活躍する選手になりたい」
- 姉の琉夏選手の姿にあこがれ、フェンシングを始めた成田選手。姉妹だけでなく父や祖父も元選手というフェンシング一家に育ちました。指導者でもあった父とは「親だからこそ感情的になって、言い合いをすることもあった」と苦笑いを浮かべますが、姉とはほとんどフェンシングの話はしなかったと言い、「だからこそ常に世界へ挑み続ける姉の存在が大きかった」と語ります。
「ものごころがついた時から姉はさまざまな場所で活躍していたので、『姉のように世界で活躍する選手になりたい』と思いました。ストイックで、フェンシングのために努力する姿が私にとってはいつもあこがれでした」
成田選手の練習拠点は秋田市ジュニアフェンサーズ。小学生から中学生までが所属し、成田選手は小学1年生のときに入団。3年時には初めて全国大会に出場しました。試合で負ける悔しさや勝つ楽しさだけでなく、強い相手と戦う楽しさを知ったのも秋田市ジュニアフェンサーズがあったからでした。学年や年齢の垣根を越え、練習で対戦することも日常茶飯事。小学生の頃は「挑戦するのが楽しかった」という成田選手も今は小学生からの挑戦を受ける立場になりましたが、もちろん手加減はしません。
「小学生の頃から強い子もいるので、手を抜く余裕がないというのもありますが、やっぱり先輩である以上は強さを見せることも大事。私も先輩としてのプライドがあるので、そこは容赦なく『やっつけるぞ』と思いきり戦っています(笑)」 -
- ▲小学生の頃から学年や年齢の垣根を越えて対戦してきました
-
常に勝つための努力をしている選手が伸びる
- もともとポジティブな性格だという成田選手ですが、小学校高学年の頃は試合で勝たなければならないことをプレッシャーに感じ「練習に参加したくない」と思うこともありました。中学生になればさらに周囲のレベルも上がり「負けて悔しい」で終わるのではなく何が敗因だったのかを考える必要があります。リードした状況から油断してしまった自分の甘さを見つめ直すなど、経験を重ねたことで成田選手がめざす選手像がより明確になったそうです。
「ただ才能があるだけでなく、常に勝つための努力をしている選手が伸びる選手だと思います。だからどんな時もフェンシングに対して強い思いを持ち続けて、一つひとつの試合に思いをぶつけて精いっぱい戦う。そういう選手が強い選手だと思います」 -
- ▲一つひとつの試合に思いをぶつけて戦います(左が成田選手)
そして、そのイメージを体現しているのが姉の琉夏選手です。
「こうなりたい」と志を持つ姉の姿は常に目標であり、明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」を知ったのも、以前姉が参加していたからでした。
「支援を受けて活躍する姉の姿を見て、私も多くの方々に支援していただく中で大会に出たいと思うようになりました。何より、フェンシングで頑張ることが地元への貢献にもつながることが大きな魅力でした」
大学生の頃にプログラムへ参加した姉が、アスリートとしての意識がより一層高める姿を見てきました。
「自分にストイックで、自宅に帰ってきてもフェンシングのことを常に考えています。食事も好きなものばかり食べるのではなく、体重を維持するように心がけていました。お肉や野菜とバランスのいい食事をとり、帰省している時でも空いた時間があればトレーニングをする。明確に世界を目標にしてからは、特に自分に厳しく取り組む姿を見てきたので、私も同じようにやっていかないといけない、と刺激を受けました。試合で負けて悔しい時もテレビ電話で『ドンマイ』とか『次も頑張って』と言ってくれるのはすごく心強いし、姉妹としてだけでなく、同じ競技を経験する者として通じ合うものがあるので、いつも助けられています」 -
剣が折れた時には「ごめんなさい、という思いで報告」
- さまざまな大会や合宿に参加すると、新幹線で秋田駅につくだけでホッとする、と成田選手は言います。大森山公園の動物園や観覧車。自宅の近くにある雄物川での花火大会や、春の桜、秋の紅葉、自然が豊富な秋田の景色が大好きで、稲庭うどんや、家族や親族が集まる時に食べるきりたんぽ鍋も大好きという成田選手。活躍の場が広がると、地元の人たちが「頑張ってね」と声をかけてくれる。その温かな応援が活力になっている一方、成田選手が専門とする「エペ」の試合が秋田県で開催されることはありません。レベルが上がれば上がるほど、全国や海外遠征は必須でその費用は自己負担を余儀なくされます。
加えて、めったに折れることはないという剣が折れた時には「ごめんなさい、という思いで親に報告する」と言うように、道具にも費用がかかります。しかしさらに上のステージで勝負するには、妥協するわけにはいきません。「よりよいパフォーマンスを発揮するために、(支援金は)遠征費や道具代に充てたい」と語ります。 -
- ▲地元の人たちの「頑張ってね」という声が力になっています
現在はアンダーカテゴリーを主戦場とする成田選手ですが、将来は姉と同様にシニアカテゴリーで日本代表として戦うことが目標で、夢は「世界選手権で優勝すること」です。「日々の練習から本気で取り組んで、強い選手たちと一緒に団体戦でも戦えるようになりたいです。自分が活躍することでフェンシングに興味を持ってくれる人が増えて、秋田の魅力も伝えることができたら本当にうれしいです」
家族の思い、秋田の期待を背負って戦う。描く夢に目を輝かせ、成田選手はさらなる飛躍を誓います。
(取材・制作:4years.) - ================
2024年2月29日をもちましてクラウドファンディングを終了いたしました。
ご支援をいただきまして、本当にありがとうございました!
■支援者一覧(順不同、敬称略)
津谷由紀子、飯塚隆志