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数々の記録を塗り替えた女子円盤投げ期待のホープ!日本人初の60mスロワーになり世界とわたりあいたい
- 力強い投てきとは裏腹に、物腰柔らかい口調で競技について語る齋藤真希選手。23年6月の日本選手権女子円盤投げに出場し、4度目の優勝を飾りました。中学時代から世代別の記録を次々と塗り替えてきた第一人者が見据えるのは、もちろん世界。日本人初の60mスロワーになり、4年に1度の大舞台に立つことを目標に日々練習に打ち込んでいます。
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日本選手権で4度目の優勝! 世界との差を縮めつつある日本女子円盤投げの第一人者
- 東海大学大学院体育学研究科の齋藤真希選手(山形県出身)は陸上競技の中でも、投てき種目である円盤投げを専門に、世界をめざして日々練習に励んでいます。
齋藤選手が円盤投げに出合ったのは小学6年生の時。6歳年上の姉が投てき競技をやっていたのを見て、興味を持ったといいます。体験として短距離や跳躍もやってみましたが、「投てきが自分に合っている」と中学に入ってから本格的に取り組むようになりました。元高校教諭で自らも円盤投げの選手だった菅原稔先生の指導を受け、めきめきと力をつけた齋藤選手。中学3年生の時には44m57を投げ、中学記録を更新しました。
鶴岡工業高校(山形)に入ってからも、自己ベストとともに高校記録を更新。高校2年生、3年生の全国高校総体(インターハイ)ではこの種目で34年ぶりとなる2連覇を果たしました。特に3年生の時には年上の選手たちをおさえて、日本選手権でも優勝。「第一人者」として順調に駆け上がり、東京女子体育大学2年、3年生の時も日本選手権を制しました。東海大学大学院に進み、23年4月の日本学生個人選手権は大会新記録で3連覇を達成。23年6月の日本選手権では、2年ぶり4度目の優勝を飾りました。 -
- ▲恩師の菅原稔先生とインターハイの会場にて
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慣れ親しんだ山形・鶴岡市から世界を見据える
- 明治安田生命「地元アスリート応援プログラム」への参加は、山形県鶴岡市で選手の強化を担当している先生からの推薦がきっかけでした。クラウドファンディングという形でお金を集めることで、より「応援されている」ということへの感謝の気持ちをしっかり感じることができると考え、プログラムへの応募を決めたと話します。
中学の頃から鶴岡市の競技場で練習を積んできた齋藤選手。東京女子体育大学に入って上京しましたが、長い休みで帰省した時に競技場で練習していると、「頑張ってね」と地元の人が声をかけてくれます。地元の好きな料理をたずねると、「お母さんのご飯が一番おいしい」と齋藤選手。特にハンバーグが好きだと笑顔で話してくれました。
地元で好きな場所については、「練習ばかりしていたので、あまり遊びに行くということもなかったんです」。ずっと鶴岡市の競技場で練習をしていたので、競技場が親しみを感じる場所になっているといいます。「自分が一番安心して練習に打ち込める場所です。競技場からは山々が見えて美しいですし、自然豊かなところもお気に入りのポイントです」
20年に新型コロナウイルス感染症の影響で大学がオンライン授業になった時には、山形に帰省。慣れ親しんだ競技場で菅原先生の指導を受け、しっかりと練習を積むことができました。菅原先生との練習の際は、投てきの技術についても話し合いながらやってきたといい、「一つひとつの言葉、積み重ねがとてもありがたいです」と感謝の言葉を口にします。 -
- ▲地元の方の「頑張ってね」という言葉に励まされています
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プレッシャーを力に 「1位」の重圧をはねのけた3連覇
- 齋藤選手はこれまで大きなけがもなく、常に自分を超えよう、年代ごとの日本記録を塗り替えようとモチベーションを高く持って、競技を続けてきました。しかし第一人者であるがゆえ、特に国内では「勝って当然」という「勝ち続けること」へのプレッシャー、つらさを感じて悩むことがあったといいます。
21年の日本選手権でも、「前年度優勝者」という肩書、1位にならなければならないという重圧を感じていました。そんな時に支えとなったのは、家族の存在でした。特に母親に悩みを相談することが多く、いろいろな話を聞いてもらっています。結果的に2連覇はできましたが、52m89で2位の選手との差は84cmでした。緊張もあって100%の力を発揮できなかったと振り返ります。
しかし、そんなプレッシャーを乗り越え力にかえられるようになりました。23年4月、3連覇がかかった日本学生個人選手権では55m66の大会新記録で優勝。「個人的には、少し失敗の投てきだったとも思った」と話しますが、それでも大会新記録を出せるほどの実力をつけました。 -
世界で活躍するために! まずは60mスロワーをめざす
- 今後はまず、日本人女子では初となる60mスロワーになりたいと語ります。齋藤選手の自己ベストは57m43、日本記録は九州共立大の郡菜々佳選手(当時)が持つ59m03です(23年6月現在)。23年の8月にハンガリー・ブダペストで開催予定の世界陸上選手権の参加標準記録は64m20。世界とはまだ大きい隔たりがありますが、齋藤選手はしっかりと世界の舞台に目標を定めています。
「まずはしっかりと標準記録を突破できるような体づくりをして、技術を身につけて自分のものにしていきたいと考えています。それから、世界と戦うためにはまだ圧倒的にパワーが足りないと思います。もっとパワーをつけていきたいです」。そのために食事をしっかりとり、プロテインで補うなどしながらウエイトトレーニングで体を大きくしていくつもりです。そしてその先に見据えるのは、4年に1度の世界の大舞台です。
憧れているアスリートはいますか、とたずねると「いません」との答え。「自分が憧れられるようなアスリートになっていきたいです」と語ります。
日本では円盤投げを含む投てき競技は、まだまだ競技人口が少ない状態です。「まずは自分が活躍して、発信していけるといいなと考えています。そして自分の持っている技術を次の世代の人に伝えていきたいと考えています。そうすることで競技人口も増えるし、山形県全体の投てきも盛り上がっていくのかなと思っています」
プログラムの支援金は合宿や海外遠征などに充てていきたいと話す齋藤選手。「しっかりと一つでもたくさん試合に出て、地元にも自分の活躍をお届けできたらなと思っています」。日本女子円盤投げの第一人者として、齋藤選手はこれからも成長し続けます。
(取材・制作:4years.)
※ヘッダー画像 朝日新聞社撮影 - ================
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佐々木房枝